―3人は同期入庫で、非常に仲がいいそうですが、現在どんな仕事をしているのでしょうか? 飯泉 私が所属している事務所は、全職員が所長を含めたったの3名。少人数の組織で、オフィスも小金井支店の一部を間借りしています。移動時間もかかるため、私は不動産企業に特化して事業融資を行っており、現在は約30社を担当しています。杉並エリアでは後発の金融機関になるため、企業の自社株評価や財務分析の提案など、他行では行っていないサービスを入り口にお客さまへアプローチしています。 福田 私はエリア営業として、個人と法人のお客さまを担当しています。法人のお客さまには、事業拡大に必要な資金の相談に乗ったり、新たな設備購入などを検討中であれば借り入れ提案を行い、返済計画を一緒に考えたりしています。一方、個人のお客さまへは車や住宅の購入、住宅リフォームなどの様々な生活ニーズに対する各種ローンをアドバイス。既存のお客さまをフォローしながら、新たなお客さま開拓も同時に行っています。 亀田 私も福田と同じエリア営業なので、基本的な業務は同じです。令和3年4月に係長に昇進してからは、課長のもとで、入庫1年目と3年目のメンバーの教育やマネジメントにも携わっています。若手の相談に乗ったり、同行したりして、チームとして目標を達成するためにどうすべきかを考え、動くことも徐々に増えてきました。
―どんなところに、仕事のやりがいを感じますか? 亀田 現在、支店で一番多くの法人のお客さまを任せてもらっているので、売上などで支店に貢献できるのがやりがいになっています。 福田 私の場合は、新規のお客さまと取引できた時ですね。すぐには契約につながらなくても、まずは国や自治体の補助金や助成金など、企業のメリットになる情報を提供することからスタートして、そこで信頼を得られると、その後の融資提案などの成約率は一気に高まります。 飯泉 どういう企業を担当しているの? 福田 エリア営業だと、製造業や建設業が多いよね。 亀田 こっちも同じだね。ただ最近はITを手軽に活用できるので、個人でECサイトやYouTubeなどインターネットビジネスを展開している人も増えてきたよね。 飯泉 私の場合は、営業が2名で、事務所において自分の売上が占める割合も大きいので、それが達成した時ですね。プレッシャーや責任感は感じますが、それ以上に達成感が得られます。
―これまでの仕事で大変だと感じたことはありますか? 亀田 先ほど、法人のお客さまは製造企業や建設会社が多いというお話をしましたが、それ以外の業界の企業ともお付き合いがあるので、融資を行う上では、幅広い業界知識を身に付けておく必要があります。若手の頃は、お客さまに教わりながら知識を身に付けられましたが、今は後輩から質問されることも増え、自分で勉強して、覚えなければならなくなってきましたね。 福田 どのように新たな知識を習得しているの? 亀田 お客さまとの雑談や世間話が大事だと思う。例えば、「半導体が不足している」というニュース記事を見たら、製造企業関連のお客さまにそれによる影響を訊ねてみるようにしています。すると「受注はあるけど、部品が入ってこないから売上がなかなか立たないね」という悩みなどを話していただけるので、そういう情報をもとに、企業としてどのように工夫して課題を解決しているのか、さらに深く聞きながら、企業や業界の現状などを把握するようにしています。 福田 飯泉は、僕らとはまた違う苦労があるよね。 飯泉 そうだね。100年続くあおしんの歴史(2022年で創立100周年を迎えた)のなかで、これまで一度も営業をしたことがないエリアに3年前に、初めて進出しました。私は2年前にこの事務所へ異動になりましたが、その頃はお客さまから「あおしんってどこにあるの?」「初めて聞く信用金庫ですね」ということをよく言われました。やはり、こういった知名度のあまりないエリアで信頼を得て、融資につなげていくのには非常に苦労しましたね。 亀田 どんなふうに取り組んでいったの? 飯泉 不動産業界は横のつながりが強いので、まずは1社でいいので、実績を出すことに集中するようにしたね。そこで大事になるのが、庫内の融資を通すための「企業からの情報収集」と「稟議書の作成」。お客さまにとっては当たり前のことでも、実は客観的に見ると、価値のあることだったりするので、時間をかけて情報を集め、第三者評価や競合との差別化になる点を把握して、その企業の魅力を分かりやすく「稟議書」に落とし込んでいきました。異動当初は、上司からこの2点を徹底的に教えてもらいました。 福田 例えば、どんな情報が有効なの? 飯泉 一例を挙げると、プロ野球などの公式スポンサーになっているかどうかは優良企業の指標になります。実は、プロ野球のスポンサーになるためには株式上場に匹敵するほどの厳しい審査基準があるので、知名度があるだけでは選ばれなかったりします。 福田 不動産以外の企業でも活かせる視点だね。 飯泉 福田はどうなの? 福田 二人も知っていると思うけど、入庫2〜3年目までよく失敗をしていて、上司に怒られることも多々あったので、「自分にはこの仕事は向いていないんじゃないか」と悩んだりもしていたよね。思い返すと、その時期かな、苦労していたのは。 飯泉 でも今は楽しそうに仕事をしているよね。 福田 それは、同期の存在が大きいと思う。 亀田 仕事終わりに飲みに行ったり、相談事があれば直接電話をかけてきていたよね。 福田 亀ちゃんは隣の店舗で、同じ行政区を担当することもあったので、助成金などの制度で分からないことがあれば電話で聞いたりしていたし。飲み会も仕事を忘れて、他愛のない話で盛り上がったりできるので、リフレッシュもできた。また、直接言葉をかけてもらったわけではないが、皆と話すことで、ポジティブな気持ちにもなれたんだよね。それで他店への異動が決まったタイミングで、気持ちを切り替えて仕事をするようになって、辛い状況から抜け出せたと思う。 飯泉 どんなふうに取り組んだの? 福田 それまでは日々時間に追われている生活をしていたので、朝から余裕を持って行動するなど意識から変えることで、ミスや失敗も少なくなった。今思えば、失敗ばかりしていたので、周りの視線なども気になり、何事に対しても自信を持てなかったのだと思う。でも、今はこれまでの失敗や上司から受けたアドバイスが若手営業の指導などに役立っていて、遠回りをしたけれど、これまでの経験が決して無駄ではなかったと思えるようになってきた。
―これまでいろんなやりがいや苦労を経験されてきたと思いますが、入庫当初と比べて、今だから実感できる仕事の醍醐味は何かありますか? 亀田 自分の支店では、営業として最年長なので自分が中核的な存在となって、チームを動かしていける点ですね。例えば、支店の売上状況などを見ながら、メンバーに指示を出したりすることもあります。それによって、チームとして目標を達成できた時は、自分の売上だけに注力していた入庫1〜2年目と比べると醍醐味がありますね。 福田 私の場合は後輩がいるので、上司と後輩をつなげる仲介役として活躍できた時ですね。上司から指示される前に行動できるほうがチームとしても機能すると思うので、後輩が先回りして動けるように、アドバイスをしています。やはり一人でやれることは限界があるので、チームだからこそ難易度の高い案件にもチャレンジできます。それが結果につながっていくとこれまで以上の充実感があります。 亀田 飯泉はどう? 飯泉 入庫歴を重ねていくにしたがって、融資先となるプロジェクトも大規模になってきたことが挙げられると思う。1件当たりの融資額は数千万円単位になってくるので、毎回緊張感のある仕事ができるようになってきました。私が融資をお手伝いした大規模プロジェクトの完成後に訪れた際には、以前の閑散とした駅前が見違えるような賑わいを取り戻し、街が生まれ変わったと思いました。こうした地域の活性化に貢献できるのも魅力ですよね。
―最後に、今後のビジョンについて教えてください。 福田 直近の目標としては、来年までに係長に昇進すること。そこで、メンバーを育成するスキルを身に付けて、再来年には、飯泉がやっているファイナンシャル営業にチャレンジしたいと考えています。これからの3〜4年で営業力とマネジメント力を磨き、5年以内にはマネージャーになりたいですね。 飯泉 私の場合は、課長になって部下の育成を経験して、早期に副支店長、そして支店長へとキャリアアップを図っていきたいと考えています。そのためにも、ファイナンシャル営業としてトップの成績をあげて、事務所をけん引していきたいですね。 亀田 1年後にはファイナンシャル営業、5年後には営業課長を経験し、10年後には副支店長というキャリアステップを実現するのが私の目標です。口で言うほど簡単ではないと思います。だからこそ、この理想に対して、現実の自分はどこまでできているのかを常に意識して、日々修正していくことで、目標をクリアしていきたいと思います。